Winner第44回広島広告企画制作賞 受賞作品

※応募総数120作品(新聞・雑誌広告18作品、電波広告36作品、SP広告31作品、インターネット広告9作品、Web動画広告16作品、屋外広告10作品) 
審査会:4月16日(日)中国新聞ビルで実施。

審査総評

審査員長

広島経済大学
メディアビジネス学部長
北野 尚人

第44回広島広告企画制作賞は、2023年4月16日に中国新聞社において審査会を行った。今回の応募総数は120作品で、内訳は、新聞・雑誌広告が18作品、電波広告が36作品、SP・WEB・屋外広告が41作品、インターネット・WEB動画広告が25作品であった。制作者の斬新なアイデアと高い意欲が感じられる作品が多くみられた。
 2023年度は特別審査員として、東京で現役のクリエイターとして活躍されている電通の松村氏と博報堂の米村氏をお招きした。審査員の数は前年の5名から6名へ増え、従来以上に様々な角度からの審査を行うことができた。特別審査員のお二人の忌憚のない的確なご意見に関して、感謝を申し上げたい。
 今回の作品群は、コロナ禍を超えて広告主の意欲を世の中に問い、社会を元気にしたいという意図を感じられるものが多かった。コロナ禍が収束した次の時代に向けて、斬新なアイデアや笑いを誘うユーモアなどで社会を勇気づける広告の役割を、最新のデジタル技術などによって効果的に表現する試みが行われている。また、昨今のドローンによる撮影技術の一般化によって、効果的な空撮を用いた作品も見られた。様々な形で、アフターコロナの時代に向けての地方都市ならではの広告表現の在り方が示唆された年となった。
 広島広告企画制作賞に応募いただいた広告主・媒体社・広告会社・制作会社の皆様の熱意と努力に敬意を表するとともに、広島の広告業界が今後益々発展することを祈念して、総評としたい。

審査員紹介

  • 審査員長

    広島経済大学
    メディアビジネス学部長
    北野 尚人


  • 広島修道大学
    商学部教授
    川原 直毅


  • 広島市立大学
    芸術学部副学部長
    笠原 浩


  • 広島広告協会理事長
    増田 泉子
  • 特別審査員

    (株)博報堂フェロー
    (株)博報堂Gravity ECD
    米村 浩
  • 特別審査員

    (株)電通第2CRプランニング局
    クリエーティブ・ディレクター
    松村 祐治

新聞・雑誌広告部門

単発(単一広告主)広告の部

金賞次の百年も
「幸せを売れたらええねぇ」。

  • 広告主/ オタフクソース(株)
  • 企画制作/ (株)中国四国博報堂
  • 制作者/ 野田幸男、石川寛朗、佐藤穂高、 中野一行、竹内真二郎、真野美月、 毎田暖乃

講評 創業者に妻が語りかけた「幸せを売れたらええねぇ」という言葉をモチーフとした新聞15段の全面広告である。この創業時の理念を受け継いで100年が経過した企業として、これからの100年へ向けての原点を確認する意義の大きい表現と言える。
 広島弁であることが効果的に機能しており、自然さと親しみやすさをアピールする穏やかな表現となっている。広島のソウルフードであるお好み焼きを始めとする「食」を通じて、多くの人々に幸せと笑顔を届けたいという企業姿勢が良く表れている広告である。(審査員長 北野尚人)

銀賞広島トヨタから新世代クラウン

  • 広告主/ 広島トヨタ自動車㈱
  • 企画制作/ ㈱平和広告
  • 制作者/ 湯元翔、下鳴純史

講評 単発広告の銀賞「広島トヨタから新世代クラウン」は、センターワイドを活用したとても珍しい変形広告。60年以上クラウンを扱う広告主が、競合ディーラーとの差別化を狙った。掲載日が「カープの新監督に新井貴浩さん就任」というビッグニュースと偶然重なり、よく見られただろう。面積と形のパターンに一定の制約がある新聞広告という平面の舞台でも、アイデア次第で表現の翼が広がるお手本といえる。(審査員 増田泉子)

シリーズ・連合広告の部

金賞フラワーフェスティバル
開幕ラッピング広告2022
「flowerからnowarを」

  • 広告主/ 中国新聞社ほか連合広告
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 吉田一馬、西本千紘、長門萌、 西本旭宏、向井雅、大野方裕、 吉田美江、村上竜生、井波さくら、 小野太資

講評 コロナ禍とウクライナ紛争という大きな問題を抱えた年に、フラワーフェスティバルの告知のために制作された新聞ラッピングの連合広告である。
 広島にとって極めて重要な「平和」というテーマを、広島の最大のイベントであるフラワーフェスティバルの告知というタイミングに合わせてアピールするために、工夫が盛り込まれた表現となっている。紙媒体である新聞広告ならではの「光に当てると裏が透けて見える」という特性を活かし、裏から見ると「nowar」という文字が浮かび上がるというたいへん凝った広告となっている。(審査員長 北野尚人)

銀賞魅力満載!! わたしの学校自慢

  • 広告主/ 池田糖化工業㈱
  • 企画制作/ ㈱中国新聞アド福山支社
  • 制作者/ 荒巻浩志、田渕正樹

電波広告部門

ラジオCMの部

金賞「枕草子」篇

  • 広告主/ 比治山大学
  • 企画制作/ 広島エフエム放送㈱
  • 制作者/ 高野智之、植地祥太、長町智子、 石飛芽生、山本将輝、安広修平

講評 学生ならではの視点で制作され、「学生CMコンテスト」中四国ブロックで第一位を獲得した作品である。枕草子という古典をモチーフに、学生らしい語り口のユーモアあふれる表現となっている。コピーを考案した学生のゼミを巻き込んで、ナレーションはゼミ仲間に読んでもらったものをラジオ局が音源化したものである。
 学生達が自主的に制作したラジオCMであり、参加した学生に「広告クリエイティブの楽しさと難しさ」を体験してもらえた意義も大きい作品である。(審査員長 北野尚人)


 ラジオCM「枕草子」篇、比治山大学は学生が自分の大学をPRした作品だが、どのようにすれば自分の大学の認知度が上がるのか、ブランディングの難しさを学生が自ら体験した点が評価できる。しかし、クリエイティブさに欠ける。聴き流してしまうと学生の雑談話となる。「枕草子」篇とあるだけに、その他の作品も聴いて見たかった。ラジオCMは聴覚から刺激を受けて頭で想像を掻き立てられるコンテンツが印象に残る。限られた秒数のなかでオーディエンスの心に響くテクニックが求められる。(審査員 川原直樹)

銀賞広島県営SNS 
日刊わしら ラジオCM

  • 広告主/ 広島県総務局施策形成支援チーム
  • 企画制作/ ㈱アドプレックス
  • 制作者/ 山根尚子、加藤ひさつぐ、 キムラミチタ、宇根川紗葉子、 小田貴音、横山喜朗

講評 金賞受賞作以外にもう1つ気になったのが広島県営SNS日刊わしら 広島県総務局施策形成支援チームの作品である。父と娘の何気ない会話に話題性のあるコンテンツを20秒×4話で構成し、最後に地元で有名なパーソナリティが自分の名前で締めくくる。聞くところによると、広島東部地域では有名らしい。インターネットの急速な普及によってラジオと言う限られたメディアは存在意義が大きく問われる。それだけに他の媒体と違う独自性が無いと益々リスナーが減る可能性がある。(審査員 川原直樹)

テレビCM 15秒の部

金賞愛篇 など

  • 広告主/ (株)藤娘
  • 企画制作/ (株)明宣社
  • 制作者/ 橋本明典、柴田耕太郎、張弥綺、 王丸嘉彬、松田伸宏、河村充

講評 創業74年の老舗節句人形店の、アイデアにあふれた五月人形のTVCMであり、昨年度の雛人形シリーズに続いて金賞を獲得した作品である。
 バーのカウンター越しに人形同士が語り合うシチュエーションが秀逸であり、和と洋の世界観が素晴らしい。五月人形とモダンな着せ替え人形の見た目と会話のギャップが極めてユーモラスであり、親しみやすさを醸成している。 やや入りにくい人形専門店のイメージの改善につながる、話題性の高い広告である。(審査員長 北野尚人)


 CMの本来あるべき姿を見せてくれた。商品である人形をしっかり中心に据えるシンプルな構造。余計なCGも使わないから制作費も抑えられて、しかもビジュアルの異様さで目立つ。二つの人形さえ撮影していれば、仮編集スタジオでいろんなセリフを試して、企画段階よりもっともっと面白くすることもできる。さらにはセリフが終わった後のコピーで、インパクトのダメ押しをすることも可能だ。「できれば、両方飾ってほしい。」のコピーで僕も笑った。異端なCMのようで、古来からある基本構造のCM。ベーシックは永遠だし、強い。そしてそこにどんな言葉を乗せるかが勝負になる。(特別審査員 松村祐治)

銀賞はっさくシャーベットTVCM
「冷たいのが良い」篇

  • 広告主/ 尾道市農業協同組合
  • 企画制作/ ㈱中国四国博報堂
  • 制作者/ 中村謙一、助野博一、山本ヨシヒコ、 藤本遥己、米村知晃、中島聖人、 田中準也、梶原涼、細川円、 谷本光平

講評 TVCM15秒では尾道市農業協同組合の“はっさくシャーベットTVCM「冷たいのが良い」は冷えた夫婦をモデルにして夫が手にした商品で悩む場面に妻が呆れた様子が描写され、クスッと笑いが出る。この作品は出来れば夫婦が一緒に商品を選ぶシーンがあればはっさくシャーベットの冷たいのが良いがさらに強調され冷えた夫婦間と商品の両方が印象に残り、インパクトはさらに強くなるだろう。(審査員 川原直樹)

銀賞ゆめタウン廿日市7周年
5人家族篇/UFOキャッチャー篇/おじいさん篇/クイズ篇/おしゃれ篇

  • 広告主/ ㈱イズミ
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 吉田一馬、馬場あゆみ、奥野友輝、 宮川博至、柴崎旭仁、横田次郎、 大石桃美、荒川怜央、山田明奈、 桝宮公平、溝口圭介、部谷浩史

講評 町の人たちにそのまま素で出演してもらうCMは、制作する側からするととても緊張する。「面白くなかったらどうしよう」と思うからだ。演出もできないし、計算もできないからだ。しかしこのCMでは、とてもうまくできている。出演者は一般応募で選ばれた、とのことだが、みんなとてもいい表情だ。見ているとゆめタウン廿日市に行きたくなる。これらのテイクを撮影できるまで、スタッフの見えない努力がいっぱいあったはずだ。うまく出演者を乗せなきゃいけないし、でも変にワザとらしくなる直前で止めなきゃいけない。たくさんの未知数や変数。これは、運も味方につけた素晴らしい仕事。(特別審査員 松村祐治)

テレビCM 30秒~180秒の部

金賞該当なし

銀賞該当なし

講評 今回のTVCM30秒~180秒は8点の応募があったものの、広告表現として金賞・銀賞にふさわしい作品が見当たらない状況であった。WEB動画などとの機能の差を考慮した表現が望まれる。(審査員長 北野尚人)

SP広告部門

①グラフィック1 
平面印刷(ポスター、チラシ)の部

金賞空からいけば広い島

  • 広告主/ 広島空港振興協議会
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 板東英樹、西本旭宏、向井雅、 片上久也、大野方裕、石田純一、 頼本高成

講評 民営化された広島国際空港のブランディングのために制作された、ドローン撮影を活用した美しいグラフィックが目を引く広告である。
 陸路から行く広島と空路で行く広島の違いを、飛行機ならではの俯瞰的な視点からアピールしている。注目度の高い意外性のあるビジュアルで見る人の想像力を刺激し、広島ならではの魅力を再発見してもらうことを狙いとした表現である。「広島=広い島」というコピーによる再定義にも工夫の跡が見られる。(審査員長 北野尚人)


 ドローンを使用した空撮による写真がとても美しく、思わずこれはどこ!?と好奇心が駆り立てられた。広島への旅を想像する際、確かに広島市周辺と宮島、瀬戸内海沿岸のイメージが先行し中北部のことは想像からこぼれ落ちている人は多いのではないか。本作品はクールなアートディレクションに加えてそういった気づきをもたらすクリエイティブ。一方で、審査会でも意見があったようにそのメッセージの受け皿としての「広い島」という言葉の納得感が万人に届くものであればより強固なクリエイティブになったか。(特別審査員 米村浩)

銀賞50周年記念
「Our Proud TRANSPORT TSUNAGU」
3連ポスター

  • 広告主/ ㈱カイソー
  • 企画制作/ 凸版印刷㈱、 ㈱トッパングラフィックコミュニケーションズ
  • 制作者/ 天野登夢、永澤裕之、筱原成美、 永田光成、社方はるか、藤本遥己、 細川円

②グラフィック2 平面ページ印刷
(パンフ、冊子、刊行物、
ページ建てチラシ)の部

金賞ひろしま食べる通信Vol.30~36

  • 広告主/ 定期購読者
  • 企画制作/ ㈱中本本店 LIGHTS LAB
  • 制作者/ 梶谷剛彦、吉宗五十鈴、森元賢司、 加藤祐子、前田憲明、瀬川恵理子

講評 各号表紙のカラーバリエーションが秀逸でデザイン性が高く、上品な世界観が確立された目を引く印刷物表現となっている。特殊な素材を使用した落ち着いた統一感のある色使いの表紙に、広島県の線画地図と各号のテーマとなっている食材名が白抜きでデザインされており、シンプルなテイストが見る人に好印象を与える。(審査員長 北野尚人)


 「食べもの付定期購読誌」という位置づけで、食材と一緒に購入者に届けられる冊子であり、読者の満足度も高いと推察される。本作品のオリジナルの発案が「東北食べる通信」であることは審査後に知った。ご当地の食材と共に届けられる小冊子というアイデアは秀逸。この「ひろしま食べる通信」はその「〜食べる通信」というフレームを広島にも導入し、ひいては日本中に数ある食の価値をみなに知ってもらう活動へ繋げるものとだと思うが、フレーム自体オリジナルでなくとも、その丁寧で完成度の高い仕事は紹介する食材がとても魅力的に見え、継続して読みたいと思わせるもので称賛に値すると思った。今後もこの活動がより大きなうねりになることを楽しみにしたい。(特別審査員 米村浩)

銀賞SUNMALL 50TH ANNIVERSARY /SUNMALL PRESENTS
「 みんなと一緒に作る文庫本」70's 80's 90's 00's 10's

  • 広告主/ サンモール
  • 企画制作/ ㈲プラネット
  • 制作者/ 桝本三知代、桝本恭平、清水浩司、 関浦通友、スージー甘金、碓井眞澄

③グラフィック3 平面特殊印刷
(DM、カレンダー、包装紙、パッケージ、紙袋、POPなど)の部

金賞水に流そう トイレットペーパー

  • 広告主/ 中国新聞社
  • 企画制作/ ㈱中国新聞アド
  • 制作者/ 増田泉子、糸川成長、西川和宏、 木村勝、オリシゲシュウジ、 鈴木空風

講評 カープ愛と独創的なアイデアにあふれた作品である。「過去の負けは水に流す」というコンセプトで、トイレットペーパーにカープの負け試合の記事を印刷した点が極めて秀逸である。また、パッケージにも工夫がされており、「妄想号外」としてカープのリーグ優勝記事を印刷したところにも、制作者のカープファンとしての強い思い入れを感じさせる作品である。更に、広告物でありながら、実際にはカープアイテムとして販売された点も高く評価できる。(審査員長 北野尚人)


 「食べもの付定期購読誌」という位置づけで、食材と一緒に購入者に届けられる冊子であり、読者の満足度も高いと推察される。本作品のオリジナルの発案が「東北食べる通信」であることは審査後に知った。ご当地の食材と共に届けられる小冊子というアイデアは秀逸。この「ひろしま食べる通信」はその「〜食べる通信」というフレームを広島にも導入し、ひいては日本中に数ある食の価値をみなに知ってもらう活動へ繋げるものとだと思うが、フレーム自体オリジナルでなくとも、その丁寧で完成度の高い仕事は紹介する食材がとても魅力的に見え、継続して読みたいと思わせるもので称賛に値すると思った。今後もこの活動がより大きなうねりになることを楽しみにしたい。(特別審査員 米村浩)負けた試合の記事でお尻を拭く、というアイデアがカープファンの溜飲を下げるのに一役買っていそうでとても好き。過去の負けを水に流そう、という洒落たコンセプトも明快でコミュニケーションスピードが速い。今回の応募作の中で一番の豪速球じゃなかっただろうか。世界レベルのアイデアだと思った。(特別審査員 松村祐治)


 審査日前日に広島入りしマツダスタジアムへと直行した際、その95%が真っ赤に染まるスタンドの熱気に圧倒された。この作品は、そんな暖かいスポーツカルチャーが根ざしたご当地だからこそ成立した作品。ただ、制作者はそういったことを緻密に計算したというより、自身のカープ愛、その熱い思いが本能的につくらせたのではないか。それ故にそこに羅列されたきつい言葉にさえ陽性な優しさを感じ取ることが出来る。ファンのみんなは愛を込めてこのトイレットペーパーを使ったのだろうか。それとも忘れない記憶としてトイレにずっと据え置かれているのだろうか。(特別審査員 米村浩)

銀賞おおのきファーム

  • 広告主/ ㈱大之木ファーム
  • 企画制作/ ㈱中本本店 LIGHTS LAB
  • 制作者/ 吉川富美子、近藤東峰、加藤祐子、 野村朱里、大野方裕

インターネット広告部門

インターネット広告全般の部
(メインサイト、キャンペーンサイト、バナー広告など)

金賞歯みがき道プロモーションサイト

  • 広告主/ サンスター㈱
  • 企画制作/ ㈱中本本店 LIGHTS LAB
  • 制作者/ 梶谷剛彦、柏原まりえ、多田準

講評 「歯みがき道が人生を決める」というタイトルの、歯周病予防のための口腔ケアのプロモーションサイトである。真面目でありながらもユーモラスな女性キャラクターと猫を登場させた、和風のアニメーションによる表現完成度の極めて高い作品である。「歯周病を世の中からなくすことを目標にしている」と宣言している社会性の高いサイトで、口腔ケア道具の紹介や質問箱、「歯みがき道ニュース」、視聴者の体験投稿コーナーなどコンテンツも多様で、楽しみながら口腔ケアを学べるものとなっている。(審査員長 北野尚人)


 サンスター㈱の「歯みがき道プロモーションサイト」は、歯磨きに関する情報をグラフィカルに且つわかりやすく伝えるための魅力的なサイトである。テキスト情報だけに頼ることなくシンプルなイラストを多用しているが決して子供向けというわけではなく、柔らかな色彩も相まって老若男女に受け入れられやすく、歯磨きを楽しく学べる設計となっている。また、フレキシブルデザインの設計も適切であり、PC、タブレット、スマホなどのデバイスにおいて適切な表示設計となっており、多様なユーザーにとって役立つ情報が提供されている。全体的に高品質なコンテンツと親切なデザインがバランス良く、広告サイトとして価値あるものとなっている。(審査員 笠原浩)

銀賞2022-2023 WINTER LOOKS HIROSHIMA PARCO
「瀬戸内は、今日も。」

  • 広告主/ ㈱パルコ 広島店
  • 企画制作/ ㈱Life Market
  • 制作者/ 山下めぐみ、元圭一、大井健太郎、 大野方裕、末廣美結、小田徳子、 小田菜美、清水航、安徳良生、 村城朋花、二又咲

講評 様々なファッションブランドをテナントとして持つPARCOが、その個別のブランドメッセージを地元に密着した魅力を付与し紹介する本企画には、顧客に向き合う丁寧で誠実な姿勢を感じた。少し素っ気ないくらいにさえ感じる端正なWEBSITEも本企画のキャラクター的にはむしろ合っている気も。ファッションを単なる憧れとして提示するのではなく、かといって昨今氾濫するショップ店員のインスタライブほどこちらににじり寄ってこない、絶妙な距離間に新鮮さをおぼえた。(特別審査員 米村浩)

ウェブ動画広告部門

ウェブ広告全般の部(ウェブ動画・サイネージ動画など)

金賞歯みがき道プロモーション動画
「お作法編」「ハブラシ選び方編」「ハミガキ選び方編」「歯間ブラシ使う編」

  • 広告主/ サンスター㈱
  • 企画制作/ ㈱中本本店 LIGHTS LAB
  • 制作者/ 梶谷剛彦、柏原まりえ、伊藤優樹

講評 プロモーションサイトの中に埋め込まれているWEB動画で、動画としての完成度が極めて高い作品である。アニメーションによって描かれる弓道をテーマとした和風の女性キャラクターが醸し出す世界観が素晴らしく、素朴な味わいの中にもユーモアが感じられる。4編からなるシリーズ作品で、それぞれのアニメーションが分かりやすく親しみやすい表現となっている。一般人が知らない口腔ケアに役に立つ知識を啓発する、社会性の高い広告である。(審査員長 北野尚人)

銀賞"「ダイナミック日常」
帰宅篇、プリント篇、リコーダー篇、ライブ配信篇、告白篇、ホラー篇"

  • 広告主/ 中国電力㈱
  • 企画制作/ ㈱バズクロウ
  • 制作者/ 宮川博至、奥野友輝、藤本雅也、 地村俊也、仲村逸平、東岡充、 原邦明、浅浦健一、勝馬径、 山鬼大輝、奴賀洋輔、横田次郎、 中廣麻琴、上田加代子、大石桃美、 荒川怜央、豊田輝、仲子尚汰、 園川励志、森本直也、築田格、 中島聖人、MIYU、藤江潤士、 中本隼介、尾鍋斐沙奈、かのん、 本保佳音、平野公仁江、 すえたけタイキ、山田健太、いろは、 奥野てっぺい、常山大志、中川健登、 堀江悠太、高瀬丈一郎、綾川樟

講評 「日常をちょっと劇的にする電気」をキーワードに、喜劇的な展開で制作された掌編ムービー集。映像制作における影の立役者「照明部」の活躍にスポットをあてた点は非常にユニークな作品。TV-CMとは違いWeb動画CMは特定のウェブサイトやプラットフォーム上で配信されるため、よりターゲットオーディエンスを絞った広告を作成することが常となるが、これについてはやや不明瞭さは感じる。コンテンツとして既存のパロディ的なコメディ要素に頼ってしまい、その点ではユニークさはほぼないが、(ある種の“話題創り”としての役割を担う役割となったのか定かではないが)「継続は力なり」として100編作り続けられたら本物であろう。(審査員 笠原浩)


 昨今、電気に関する人々の関心は料金の値上げと原発の是非など。とにかく今やあることはあたりまえの、そんな電気というものを機能ではなく効用という観点で訴求する本シリーズは、世の中が便利訴求一辺倒の中にあって少しホッとさせられた。世の中のあたりまえに幸せな毎日を支えることが大切な企業ミッションである電力会社にとっては、このようなメッセージのあり方もとても大切なのではないか。一見ノーテンキと思える表現だが、こういったアプローチにも意識が届く人々が働く会社、という事実はその企業カルチャーの一面を感じさせる。
 本作は審査会時がクライアント企業の不祥事直後というタイミングでもあり、賞の授受を企業の判断に委ねたものだが、表現そのもの、そしてクリエイターへの評価とそれとは切り離して考えたい、という返答があったもの。組織というのはいろんな考えを持った人の集合体。結論としてこういった判断を下した今回の判断は僕個人としてはレスペクトしたい。(特別審査員 米村浩)

屋外広告部門

屋外広告全般の部
(看板、構造物、サイネージ静止画など)

金賞JR広島駅南口工事用仮囲い装飾 
魅せる仮囲い第四弾
「広島を食べよう」

  • 広告主/ 西日本旅客鉄道㈱中国統括本部
  • 企画制作/ ㈱JR西日本コミュニケーションズ 中国支社/㈱中本本店 LIGHTS LAB
  • 制作者/ 井上正浩、梶谷剛彦、森元賢司、 加藤裕子、前田憲明、片上久也、 吉井大持

講評 広島の玄関口である広島駅南口の工事現場に設置された、高さ2.4m、全長45mの大規模な仮囲い装飾である。定期的にテーマを変えて掲出され、今回の第4弾は「広島の食」をモチーフとし、広島県内外の多くの広島駅利用者にアピールした。
 コンテンツとしては、①「食の生産地マップ」②「食の現場を知る」③「食のつくり手を知る」④「食の物語を知る」と多様な内容となっており、広島が誇る「食」を再認識させることに成功している。
 社会性が高く、スケール感のある高品質な優れた屋外広告である。(審査員長 北野尚人)

銀賞ATMブース壁面装飾

  • 広告主/ ㈱もみじ銀行
  • 企画制作/ ㈱みづま工房
  • 制作者/ 中山達貴、中間大介、坂本利恵

講評 これも屋外広告のカテゴリーなのか?と一瞬戸惑いを覚えるのも否めない。ストリートグラフィティとして提示された二次創作的カープ坊やは、企業の遊び心での話題提供の役割を果たしていることは言うまでもない。しかし残念ながら今回の評価者のほとんどが現物を目にしていない。所在地、設置数も明確ではなく判断しかねるところもあるが、この不明希少性もユ二ークなのかもしれない。この遊び心をもって企業の話題を展開していく企画は今までにないユニークなものであり、そこは評価につながったものと考える。今後、単なる複製コピーではなく、サイトスペシフィックな存在で、神出鬼没に展開されることを期待したい。(審査員 笠原浩)


 広告は主にメディアを使用した短期的なもので、新聞なら掲載日一日、交通広告やTVCMでもその多くは一週間程度のスパンで露出する。故にその時々の社会の空気やトレンド、企業へのパーセプションなどを考察し効果的かつ適切な発信を指向する、というもの。一方で本作はATMの壁をメディアとしたビジュアルワークで、刹那的な広告作品とはことなり、長期にわたりその場所に存在し人々は継続的に触れることになる。結果、無機質なATMという場所に人格を与える。例えば小さな子供にとってもかわいいカープ坊やが壁に絵を描いている場所、いつまでかかってるんだろう?といったちょっとしたお楽しみスポットになったり。そんな原体験をもった子供にとっては、将来もみじ銀行は他行とは違うとくべつな存在になっていく可能性もある。こういったスポットがひとつではなく、今後も壁塗り以外にも様々なことをしているカープ坊やが街中に広がるお楽しみスポットになっていくことを想像すると夢が膨らむ。(特別審査員 米村浩)

受賞作品以外で
審査員の気になった作品

新聞・雑誌広告部門
単発(単一広告主)広告の部

セイセーン!! 
エブリイ全店舗の閉店時間が変わります

  • 広告主/ ㈱エブリイ
  • 企画制作/ ㈱中国新聞アド 福山支社

講評 広告にとっての必要十分要素は様々意見があると思うが、僕がとても重要だと思う要素は見る人が瞬間的に嗅ぎ取るトンマナ。このダジャレを前面に打ち出したキャッチコピーはなんだか見る人の心をほっとさせ、この垢抜けないイラストは人肌の温かみを醸し出す。だからこのエブリイがそんな場所であることはすぐに感じ取れた。そしてその次に、どれどれその中身は・・・と、ボディコピーを読み始めたらしめたもの。多くの広告が企業やブランドの情報を伝えるだけのインフォマーシャルと化し、そのブランドやサービスの人格やサービス精神を伝えるのを怠ることが多い今の時代において、強く心に残った秀作。(特別審査員 米村浩)
※トンマナ・・・トーン&マナーの略。 広告のデザインやスタイルに一貫性をもたせるルールのこと。

広島県東部エリア 県立・市立高等学校 
がんばれ!高校を受験するみんなにエール

  • 広告主/ ㈱ワオ・コーポレーション
  • 企画制作/ ㈱中国新聞アド 福山支社

講評 広島県東部の全公立高校26校の校長が勢ぞろいした「がんばれ! 高校を受験するみんなにエール」に、審査員の関心が集まった。学習塾の広告に、地域の公立高校の校長が一人残らず登場する企画の意外さ。「一人一人に協力を求める作業は大変だったろう」「広島県西部で同じことができるだろうか」…。新聞の一覧性を生かした発想と制作会社の努力に高い評価が集まった。それだけにデザインにも工夫が欲しかった。各校長の特色ある言葉を際立たせるなど、仕上げにひと手間かけていれば入賞もあっただろう。(審査員 増田泉子)

勝利の誓い

  • 広告主/ ㈱広島東洋カープ
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社

講評 広島東洋カープからはカラー15段3本のエントリーがあった。米大リーグから復帰した秋山翔吾選手の入団、昨季の後半戦開幕日、今季のキャンプインの三つの節目の出稿である。中でも後半戦開幕の広告は中世を舞台にしたスペクタクル映画のポスターを思わせるデザインで、戦士のコスプレをしたマクブルーム選手のドアップ写真に、「勝利の誓い」とのコピーを配した。シンプルな剛速球勝負に出たが、甲に「C」マークをつけるなどの遊び心があっても良かったとの意見もあった。(審査員 増田泉子)

電波広告部門
テレビCM 15秒の部

アンフィニ広島TVCM
「坂倉くんの服装」篇・
「石原さんが受け止める」篇

  • 広告主/ ㈱アンフィニ広島
  • 企画制作/ ㈱中国四国博報堂

講評 もし超有名な俳優を起用できたら、高いクオリティのCMにしやすい。でもノンタレントの場合も実は、逆に自由でラジカルなCMにしやすい。しかし一方で、プロの役者さんではないカープの選手を起用する広告は意外と作るのが難しいと思う。しかも広島ではカープ関連の広告がそれでなくとも多い。その中でアンフィニ広島のCMはとてもうまく作られていた。選手に無理な演技をさせて笑いを取りに行くのではなく、選手はその選手らしく起用して、シンプルなセリフや共演者で面白くしていく。プロのクリエーターの技術を見た。賞からはやや縁遠いかもしれないが、こういう仕事こそクライアントに喜ばれ、視聴者も楽しませる本物の仕事だ。(特別審査員 松村祐治)

ウェブ動画広告部門
ウェブ広告全般の部(ウェブ動画・サイネージ動画など)

地域の安心を目指した30年

  • 広告主/ 社会医療法人清風会 五日市記念病院
  • 企画制作/ ㈱AttractOne

講評 医師の言葉の力強さに圧倒される。そしてそれが五日市記念病院への信頼感につながった。いわゆる「表現」としての広告クリエーティブではないが、丁寧なドキュメンタリーの作り方がこのムービーを見応えのあるウェブコンテンツに昇華している。きちんと効く言葉を拾い集めているクリエーターたちの作業に、拍手を送りたい。一点、もしかしたら、医師たちの言葉を強く右脳に伝えることができる、一行の強いコピーがあれば、さらに五日市記念病院が屹立できたかもしれないと思った。(特別審査員 松村祐治)