Winner第45回広島広告企画制作賞 受賞作品

審査総評

審査員長

広島経済大学
メディアビジネス学部学部長
北野 尚人

 第45回広島広告企画制作賞は、2024年4月21日に中国新聞社において審査会を行った。今回の応募総数は昨年度より16作品増えた136作品で、内訳は、新聞・雑誌広告21作品、電波広告36作品、SP広告41作品、インターネット広告14作品、ウェブ動画広告16作品、屋外広告8作品だった。
 2024年度は6名の審査員で審査を行った。修道大学の矢野泉学長に新たにご担当頂くとともに、特別審査員には、現役のクリエイターとして東京で活躍されている電通の西橋佐知子氏と、大阪で活躍されているタイガータイガークリエイティブの細田佳宏氏をお招きした。審査員の数は男女それぞれ3名ずつとなり、従来以上に様々な角度からの審査を行うことができた。審査員の皆様の忌憚のない的確なご意見に関して、感謝を申し上げたい。
 今回の作品群は、「コロナ明け」が本格化した世相を反映し、「明るく」「楽しい」表現が多く見られた。具体的には、ユーモアあふれる表現、カラフルでポップな表現、イラストレーションを効果的に使った表現など、見るものを楽しませる工夫に満ちた広告が多かった。また、アイデアや広告表現のクオリティも年々向上しており、審査員の間で評価の分かれる作品も多く、楽しくも難しい審査となった。
 最後に、広島広告企画制作賞に応募いただいた広告主・媒体社・広告会社・制作会社の皆様の熱意と努力に敬意を表するとともに、広島の広告業界が今後益々発展することを祈念して総評としたい。

審査員紹介

  • 審査員長

    広島経済大学
    メディアビジネス学部学部長
    北野 尚人


  • 広島市立大学
    芸術学部副学部長
    笠原 浩


  • 広島修道大学学長
    商学部教授
    矢野 泉


  • 広島広告協会理事長
    増田 泉子
  • 特別審査員

    ㈱電通
    クリエーティブ&ナレッジ
    推進センター ECD
    西橋 佐知子
  • 特別審査員

    ㈱タイガータイガークリエイティブ
    CMプランナー
    細田 佳宏

※審査員長による金賞受賞作の講評および、審査員・特別審査員による気になる受賞作品への講評を紹介しています。併せてご覧ください。
また、受賞作以外の気になった作品への講評は、第45回広島広告企画制作賞応募作品展にて公開いたします。(広島県立美術館地下県民ギャラリーにて10月8日(火)~10月14日(月)まで)

新聞・雑誌広告部門

単発(単一広告主)広告の部

金賞ビジネス層向け新幹線PR
「知らんかった。」新聞広告

  • 広告主/ 西日本旅客鉄道
    ㈱鉄道マーケティング部広島営業部
  • 企画制作/ ㈱JR西日本コミュニケーションズ中国支社/
    ㈱中本本店LIGHTS LAB
  • 制作者/ 井上正浩、森下恒星、加藤祐子、柏原まりえ、近藤東峰

講評 ビジネス客向けに開発された「S Work車両」の認知度向上とトライアルユースを目的として制作された新聞広告である。全30段の大スペースと「知らんかった。」のコピーによって、メインターゲットであるビジネス層を中心に幅広い新聞読者の高い注目度を獲得した表現である。新しい車両に準備された様々な設備やサービスをユーモラスなイラストと広島弁で表現した、分かりやすく親しみの持てる新聞広告である。新聞以外の幅広い媒体を活用したクロスメディア型の展開も見事である。(審査員長 北野尚人)

 ビジネスパーソンが知りたいのぞみ7号車の情報をもれなく、わかりやすく伝えており、読んで楽しく、ためになる広告になっている。イラストも読んで思わず「知らんかった」とつぶやいた人も多いのではないだろうか。実際、この広告が出されて以後、以前より7号車が混雑するようになったという実感もある。想定するユーザーの性別が偏っていない点もよい。(審査員 矢野泉)

 新聞30段をS Work車両のPRだけに使う思い切りの良さ。「知らんかった」のコピーが効いている。サービスの紹介も説明的でないのにわかりやすい。同じポスターを路面電車の車内で見たときは、公共交通の連携の大切さがこういうところに現れる時代になったんだと感動した。情報発信後に7号車が混んできたのは、広告効果だと思われる。(審査員 増田泉子)

 知らないともったいない情報を親しみやすく伝える手法に好感が持てる。(特別審査員 西橋佐知子)

銀賞「アレからコレへ」

  • 広告主/ ㈱広島東洋カープ
  • 企画制作/ ㈱中国新聞アド/㈱みづま工房
  • 制作者/ 佐々木裕之、新庄谷隆、中間大介、山田陽子

講評 シンプルでとにかく強い。あれこれ言いたくなるところを抑えた良さが効果を発揮した。(特別審査員 西橋佐知子)

 一見してなんの広告かわからない。カープを使う広告は広島ではポピュラーと聞くのでどこの広告だろうと思う。聞くとカープの広告らしい。球団自らがこのような広告を出すという発想がまずない。プロ野球、カープ好きなら言わずもがななのだろうが「アレからコレへ」というのもまあまあ解説されて初めてわかる。それでもこのビジュアルだけでもう勝ちである。この躍動感とハッピー感。作り込まれたビジュアルよりも一枚の瞬間の切り取りがすべてを持っていく。それがカープの強さなのだろうし、グラフィック広告の強さでもある。(特別審査員 細田佳宏)

シリーズ・連合広告の部

金賞サンフレッチェ広島開幕ラッピング広告
「熱望は、熱狂へ。」

  • 広告主/ ㈱中国新聞社ほか連合広告
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 吉田一馬、鍵矢康紀、檜垣和男、中本誠、元圭一、藤本遥己、高原義明、村上竜生、小野太資、松田智基

講評 サンフレッチェ広島のサポーターはもちろんのこと広島県民が熱望した、新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」での、2024シーズン開幕戦に合わせて制作された新聞ラッピングの連合広告である。新聞ラッピングという媒体の特性を存分に生かし、新スタジアムのスケール感と迫力を表現している。また、「熱望は、熱狂へ。」というコピーも、広島の状況を時系列で的確に表現しており素晴らしい。更に、「サンフレユース出身」選手の背番号が象徴的であり、深い思いが込められた広告となっている。(審査員長 北野尚人)

 2024年2月23日、Jリーグの今シーズンの開幕戦が行われるこの日の中国新聞朝刊に掲載された特別ラッピング広告。今年オープンしたサンフレッチェ広島の新たなホームグラウンドであるピースウイング広島を舞台としたこの画像、ここに写っている選手たちは、言わずもがな全員サンフレッチェ広島のアカデミー出身の選手たちである。サンフレッチェ広島は、日本国内でも屈指の選手育成型クラブチームとして知られており、多くの有望な若手選手を育成している。選手たちが待ち望んだ“自分たちのサッカー専用スタジアム”に登場するこの瞬間は、まさに彼らの夢が実現した瞬間でもあり、そして選手たちの視線の先には、彼ら大歓声で迎え入れるファンサポーターの姿が映っているはず。この特別ラッピングは、その象徴的な瞬間を捉え、地元ファンにとっても感動的なシーンとなっている。「熱望は、熱狂へ。」というキャッチフレーズが、控えめに記されていることも、ジワジワとこの感動を伝える効果的なレイアウトになっている。このラッピング広告は、選手たちの情熱と努力が実を結び、ファンの期待が現実となったことを表現している。彼ら選手たちにとっても、そしてサポーターにとっても夢の舞台に登場するという、期待と興奮に満ち溢れたこの決定的瞬間!まさに今年のこの日、この時でないと成立しない広告となっている。(審査員 笠原浩)

 ページをめくると新しいステージが広がる。その日ならではの、ラッピングを効果的に活用した広告。緊張感あふれる背中のビジュアルも期待感をそそる。コピーもいい。(特別審査員 西橋佐知子)

銀賞該当なし

電波広告部門

ラジオCMの部

金賞世羅町観光協会ラジオCM

  • 広告主/ 一般社団法人世羅町観光協会
  • 企画制作/ ㈱RCCフロンティア
  • 制作者/ 宮﨑夏音、森下朋之、塚本学

講評 世羅町観光協会の皆さんが出演する、素人っぽさが微笑ましく親近感の湧くラジオCMである。4月から9月までの各月ごとのドラマ仕立てとなっており、世羅町の季節ごとの魅力を「ドラマチック世羅町」というコピーで表現している。敢えて声優やタレントなどのプロを起用せず、広告主である観光協会スタッフの皆さんの一生懸命さをアピールすることによって、親しみやすさ効果を発揮しているラジオCMである。(審査員長 北野尚人)

 観光協会のみなさんのプロには出せない味が耳を引き、きっと温かい町なんだろうな、訪ねてみたいと思わせる。通年でさまざまな見どころを発信しているのもいい。(特別審査員 西橋佐知子)

 地域観光のCMをラジオでやろうという試みがまずチャレンジである。グラフィックや動画ならともかく本来見せたいはずの観光資源がビジュアルで見せられない。ラジオでやろうとなった時点で本来頭を抱える事態である。そこで、なのかどうかわからないが地域の人々自身が出演するという方法をとったキャスティングがすばらしい。お世辞にもけっして演技がうまいというわけではないが、それがむしろ世羅町という町の魅力を表現することにつながっている。ただ観光資源を説明するだけでなく「ドラマチック世羅町」というキャッチフレーズでドラマ仕立てにする工夫とチャレンジも称賛したい。(特別審査員 細田佳宏)

銀賞「はいしゃの可能性」篇、
「廃車、解体」篇、
「ひとつよろしく」篇

  • 広告主/ ㈱荒谷商会
  • 企画制作/ ㈱RCCフロンティア
  • 制作者/ 森下朋之、宮﨑夏音、八谷しおり、柴田忠則、細川和男、菊岡俊彦

講評 締めのコピーが「ラジオ」ならではのダジャレになっていて、どのタイプもよくできている。会社の良い雰囲気がにじみ出ている。(特別審査員 西橋佐知子)

 まず「素人くさい」演技が「いい意味」でいい。番組や他社のCMで聞くプロの喋りの中でむしろ耳をひく差別化だと言っていい。自社社員を起用しているというが恐らく小さな会社で社員の人柄が見えるということはとても大事なことだろう。それに加えて「車の未来をあらたに」や「敗者」と「廃車」をかけるなど短い尺の中でもきちんと社名や業態を記憶に残そうとするコピーの工夫がすばらしい。(特別審査員 細田佳宏)

テレビCM 15秒の部

金賞秒でディナー

  • 広告主/ オタフクソース㈱
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 後藤耕太、利根川洋行、桑山裕司、池田悠人、さとうこずえ、川久保晋、菅野巧介、町田由貴子、小川寿美、荒谷未来、栗田真大、茂庭翠

講評 ソースをかけるだけで様々な食材が瞬時にして「ご馳走」になることを表現しているスピード感とクオリティ感のあるテレビCMである。野菜などの食材の持つシズルを見事なアート処理によって表現している。「秒でディナー」というコピーも、手軽さとシズル感を両立させた言葉として効果的に機能している。アート性の高いクオリティ感あふれる広告と言える。(審査員長 北野尚人)

 15秒の中に、家庭で食事を担当する者の悩みごとの解決策が、「秒でディナー」というわかりやすいコピーで、情報が過不足なくポップにまとめられており、商品のコンセプトがストレートに伝わってくる。むしろ15秒という制約が商品のインパクトを強める効果をあげており、広告特性を生かしている点も評価できる。(審査員 矢野泉)

 シズル映像の魅力に加え、「秒でディナー」というユーザーベネフィットかつ商品の魅力を言い当てたコピーが効いている。(特別審査員 西橋佐知子)

銀賞カープのことなら中国新聞2024

  • 広告主/ ㈱中国新聞社
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 吉田一馬、竹原総、福本賢志、中本誠、脇本美知花、森本誠、有田洋之、小野太資

講評 まず「カープのことなら中国新聞」という割り切りがすごい。スポーツ紙でもないのである。阪神タイガースのことならデイリースポーツとはわけが違う。中国新聞もいろいろ自信をもって言いたいことはあるだろうに(ありますよね?)カープ一本に特化したことは広島という事情もあろうがCMとしての思い切りの良さである。そしてモーショングラフィックとタイポグラフィを上手に使いながらテレビという動画メディアで新聞という活字メディアの魅力をスタイリッシュに表現しているのもかっこいい。(特別審査員 細田佳宏)

テレビCM 30秒~180秒の部

金賞考える人

  • 広告主/ 西川ゴム工業㈱
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 板東英樹、井上潤一、山本ヨシヒコ、山﨑信徳、加治屋司、矢内宏、木下寛子、久保田智秋、江藤浩輝、池田壱成、佐藤菖也、川口風歌、大島匡史朗、竹内光志、宮園祐一、前田博文、セバスティアン・プロー、頼本高成

講評 ロダンの有名な彫刻「考える人」をモチーフにした、見る人の目と耳を引き付けるユーモアにあふれたテレビCMである。BtoB型企業である西川ゴム工業が、企業ブランディングとリクルート対策の狙いで制作したテレビCMで、フランス語っぽいナレーションや「びよーん」という言葉によって、ユーモラスでインパクトのある映像表現となっている。「弾力発想」というステートメントも広告コンセプトに合致した素晴らしいコピーとなっている。企業姿勢のアピールはもちろんのこと、人材募集や人材育成にもつながっている汎用性の高い広告である。(審査員長 北野尚人)

 真面目にひたすらいいモノづくりを続けてきた会社イメージとのギャップが、地域をびっくり仰天させた。「弾力発想」のコピーもグッド。クリエーターの思いを受け入れた経営陣の懐の深さに敬意を表します。(審査員 増田泉子)

 考える人が大量発生するところで思わず吹いた。ゴムになって自在に動く、というアイデアにとどまらず、よりキャッチーにする工夫をしているところが素晴らしい。(特別審査員 西橋佐知子)

 すごい。まず見た目のインパクトがすごい。ブロンズ像が「びよんびよん」していることもびっくりで企画からして面白いが、画面の枠や字幕をまたいだり画面から落下したりセリフがフランス語だったり演出面でも「のびのび」発想がすばらしい。動きがとてもゴムらしくダイナミックで気持ちいいと同時にどんなにポーズをしても決して肝心な部分は見えないコンプライアンスに配慮したブロンズ像の「演技」もよい。CM同様のびのびで「弾力発想」な会社なのだろうと好感がもてる。(特別審査員 細田佳宏)

銀賞宮島新ブランドTVCM
「千年先も、いつくしむ。」

  • 広告主/ 廿日市市
  • 企画制作/ ㈱中国四国博報堂
  • 制作者/ 藤川頼信、小神田隆史、今田和美、河上陽子、大沢勇登、櫻井一輝、石川寛朗、江藤彩、竹下公明、二川真衣、元圭一、大野方裕

審査員特別賞ACジャパンTVCM
「動けば町が元気になる」(30秒)

  • 広告主/ 公益社団法人ACジャパン
  • 企画制作/ ㈱中国四国博報堂
  • 制作者/ 藤川頼信、三谷晃弘、小神田隆史、久保友利、出口さゆり、有田奉生、角田雅子、杉葉子、おじキュン!、川上昌平、西井昌哉、青野文幸

講評 地域を元気にしたいと思いながら、何をすればよいのか、誰ができるのかととまどい、最初の一歩を踏み出すことを躊躇している人が、広島をはじめ日本全国にたくさんいるのではないだろうか。「おじキュン!」の皆さんの姿と、「動けば町が元気になる」のコピーに背中を押され、最初の一歩を踏み出すことができるかもしれないと感じた。(審査員 矢野泉)

SP広告部門

グラフィック1 
平面印刷の部(ポスター、チラシ)

金賞冬の牡蠣休暇いただきます。

  • 広告主/ 広島空港振興協議会
  • 企画制作/ ㈱電通西日本広島支社
  • 制作者/ 板東英樹、西本旭宏、渡辺智基、久保田寛子、頼本高成

講評 昨年の「空から行けば広い島」のポスターに続く、首都圏からの広島国際空港の利用促進を目的とした連貼りポスター広告である。知名度の高い冬の広島牡蠣をモチーフに、ブルーと白のコントラストが特徴的な温かみのあるイラストを効果的に使った注目度の高い表現となっている。夏季休暇から連想される「牡蠣休暇」というコピーの工夫も秀逸である。広島国際空港の継続的なブランド構築に貢献する素晴らしいポスターと言える。(審査員長 北野尚人)

 まずイラストがすばらしい。瀬戸内の青い海と牡蠣筏のコントラスト。その上をスーッと滑るように滑空していく人の気持ちよさ。水面に映る影は飛行機である。細部まで気が利いている。すぐに広島に「飛んで」いきたいくなるビジュアルである。飛行機の窓から見える島と海と牡蠣鍋もワクワク感を掻き立てる。その上に「冬の牡蠣休暇いただきます。」というコピー。ダジャレと言えば身も蓋もないがこのビジュアルにのせると不思議と野暮さはなくあくまでぬけぬけと気持ちいい。添えられたボディコピーの上手さにも唸る。このポスターを見た後に「ちょっと牡蠣休暇行ってきます」と言いながら会社をでていく姿を想像する。(特別審査員 細田佳宏)

銀賞宮島訪問税10月1日開始 
周知ポスター

  • 広告主/ 廿日市市
  • 企画制作/ ㈱中国四国博報堂
  • 制作者/ 田村遥子、小神田隆史、今田和美、大沢勇登、櫻井一輝、成戸紘平、福島桃子、町野亜美、角田雅子

講評 宮島のロゴアイコンをうまくアイキャッチに使ったデザインの強さが光る。「訪問税」という税を納得させる力がある。(特別審査員 西橋佐知子)

グラフィック2 平面ページ印刷の部
(パンフ、冊子、刊行物、ページ建てチラシ)

金賞新日本造機50年の歩み

  • 広告主/ 新日本造機㈱
  • 企画制作/ TOPPAN㈱/㈲ペンギングラフィックス
  • 制作者/ 新日本造機50年の歩み編纂委員会、谷本光紀、神谷七穂、山本幸樹、永澤裕之、永田光成、中村和人、中村富子、谷麻美、元圭一、藤本遥己、細川円、三浦朝輝、杉原遥

講評 創業50周年を記念して制作された、細部にまでこだわりぬいた極めてクオリティの高い冊子である。
大型照明による夜間撮影という技法にこだわり、巨大な製品群の美しさと、働く社員の皆さんの誇りに満ちた表情を効果的に表現している。本体の用紙はもちろんのこと、スリーブケースにまでこだわった完成度の高い作品である。(審査員長 北野尚人)

 写真の力が強い。日ごろなじみの薄い製品が、しっかりと社会を支えてきたことが伝わってくる力作。(特別審査員 西橋佐知子)

銀賞木まじめな家

  • 広告主/ ㈱大之木ダイモ
  • 企画制作/ ㈱明宣社/㈲ペンギングラフィックス
  • 制作者/ 松田伸宏、山本祐介、中村和人、中村富子、谷麻美、藤本遥己

講評 シンプルななかにも、モノづくりの丁寧さ,木の魅力がしっかりと伝わってくる。手紙のようなつくり、風合いといった細部のこだわりも、モノづくりの丁寧さをよく表現している。(特別審査員 西橋佐知子)

審査員特別賞広島の記憶(冊子)

  • 広告主/ 公益財団法人泉美術館
  • 企画制作/ クリックファーム㈲
  • 制作者/ 松浦康高、木原実行、児玉典子、沖宣行、森田彩子、白井かれん、松浦徳大

グラフィック3 平面特殊印刷の部
(DM、カレンダー、包装紙、パッケージ、紙袋、POPなど)

金賞広島電鉄電車 車内ジャック広告
「ダンボールワールド」

  • 広告主/ ㈱桐原容器工業所
  • 企画制作/ ㈱広告通信社
  • 制作者/ 松岡弘樹、カミガキヒロフミ、杉葉子、前田克也、森本愛加、武村航、蔵道千寛、大原舞子、要田智美、福井美来

講評 段ボールに関心を持ち身近に感じてもらうとともに、その可能性に関してアピールすることを目的に制作された一連の立体特殊制作物である。車内の中吊りポスター、窓上ポスター、正面額ポスターを実際の段ボールを使用して制作、更に車体の外側にまで展開し、複合的な形で段ボールワールドを構築したことが高く評価できる。中吊りポスターは広島の街並みと春夏秋冬をポップでカラフルに切り出し、段ボールの持つ多様性を楽しく表現している。(審査員長 北野尚人)

 素材の魅力とデザイン力の相乗効果で、つい微笑みながら鑑賞してしまう広告。広島の風景を立体的に描いた中吊り広告は、多くの市民や観光客を楽しませたのではないか。企業の名前よりも、ダンボールの良さや可能性が前面に出ているのも、見る側が受け止めやすいものになっている。(審査員 矢野泉)

銀賞該当なし

インターネット広告部門

インターネット広告全般の部
(メインサイト、キャンペーンサイト、バナー広告など)

金賞ヒロシマンホ?スタンプラリー

  • 広告主/ オタフクソース㈱
  • 企画制作/ ㈱三晃社広島支社
  • 制作者/ 伊藤亨、田中大介、二井ひかる、上瀬華、竹上万貴子、オタフク100周年プロジェクトチーム

講評 お多福グループ創業100周年の感謝を込めて、広島の県内8市2町との連携のもと企画された非常に社会性の高いキャンペーンサイトである。 各市町で提供されている「ご当地お好み焼」をデザインした実物のマンホールを制作・寄贈し、そのマンホールを起点として広島県内を周遊する「ヒロシマンホ?スタンプラリー」という観光施策をインターネット広告として告知した、リアルとバーチャルを融合させた優れた企画である。インターネット上のマンホールのイラストも楽しい雰囲気を醸し出している。(審査員長 北野尚人)

銀賞広島・山口の魅力を伝える
ポータルサイト「てみて」

  • 広告主/ 西日本旅客鉄道㈱中国統括本部広島支社(地域共生)
  • 企画制作/ ㈱JR西日本コミュニケーションズ中国支社/㈱中本本店LIGHTS LAB
  • 制作者/ 井上正浩、梶谷剛彦、森下恒星、酒松友昭、加藤祐子、的野翔太、西田加世、鎌塚葵

講評 もの、作り手について、欲しい情報が読み手の立場でわかりやすくキュレーションされていて、とても親切。「売らんかな」ではなく、ものの持つストーリーがよく伝わり、地元の魅力を引き出している。(特別審査員 西橋佐知子)

ウェブ動画広告部門

ウェブ広告全般の部(ウェブ動画・サイネージ動画など)

金賞おみずに、まじめです。

  • 広告主/ オタフクソース㈱
  • 企画制作/ ㈱三晃社広島支社
  • 制作者/ 伊藤亨、田中大介、上瀬華、中将哉、岡田愛未、松上佑意、元圭一、川崎愛恵、大野方祐、和田一将、高野翔太、大宮竜太、横田次郎、豊田理恵、小田徳子、足袋井竜也、田中亜紗美

講評 オタフク酢が、水や環境にこだわって作られていることの認知と理解を促進するために制作されたウェブのショート動画シリーズである。水滴形の被り物と白衣を着た「お水ハカセ」と助手の子供との掛け合いが、何とも言えない楽しい雰囲気を醸し出している。助手のたどたどしいしゃべり方とハカセの飄々とした受け答えがユーモラスで見るものに好感を与える。何度も繰り返して見たくなる優れたウェブ動画である。(審査員長 北野尚人)

 二人の登場人物のキャラが秀逸で、ついつい見てしまう。豆知識もわかりやすい。(特別審査員 西橋佐知子)

 まずかわいい。CMで子役やキャラクターというのはフックとして鉄板である。もちろんこの動画の良さはそれだけではない。キャスティングと演出がとてもいい。ともすれば退屈になりがちな説明動画だがお水博士も子供も絶妙の抜け感というかゆるふわな掛け合いが不思議と見飽きない動画になっている。それは恐らく会社の人柄でもあり安心感とともに食品メーカーにはとても大事なことなのだと思う。近年増えている縦型フレームをうまく使っていることも評価したい。(特別審査員 細田佳宏)

銀賞ファーストクラスのおもてなし

  • 広告主/ つばめ交通㈱
  • 企画制作/ ㈱みづま工房
  • 制作者/ 田部レイカ、山田陽子、梅西宏貴

屋外広告部門

屋外広告全般の部
(看板、構造物、サイネージ静止画など)

金賞「P3 HIROSHIMA」
ラッピング電車

  • 広告主/ 広島電鉄㈱
  • 企画制作/ ㈱みづま工房
  • 制作者/ 末松辰義、折本佳典、諏訪正浩、坂元麻里、伊達友香、滝本寿美、中間大介、西瑛里菜、馬場健太朗、礒本和宏、小松弓夏

講評 広島の3大プロである広島交響楽団、サンフレッチェ広島、広島東洋カープを地域全体で応援するために企画され運行されたラッピング電車である。今回は、既存のラッピング電車をフルラッピング車両へとリニューアルし、「一人ひとりが応援のピース」のスローガンのもとクラウドファンディングも実施し、各プロ団体と支援者によって完成させたものである。また、車内の内装も、床・窓枠・天井まで各プロ団体をイメージさせるデザインを開発し、リアルな臨場空間の楽しさを演出した。社会性が高く、スケール感と注目度の高い優れた立体広告である。(審査員長 北野尚人)

 Piece Peace Hiroshima(一人ひとりが応援のピース)というコピーがいい。クラウドファンディングで実施するというのも、その施策が、街を貫く電鉄のラッピングでカタチになるというのも、素晴らしい。広島の方々の絆の強さを感じる。(特別審査員 西橋佐知子)

銀賞該当なし

(敬称略)