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2021.02.12【インタビュー】島根県邑南町商工観光課長 寺本英仁氏
会員・一般

島根県邑南町商工観光課長 寺本英仁氏

 

邑南町の概略について教えてください

 邑南町は平成16年の町村の大合併により、2町1村、羽須美村、瑞穂町、石見町の町が合併をし、邑南町となって16年目を迎えております。

 町としては、農業が盛んですが、主産業は農林業ということになっております。高齢化率はそれなり高くて、44.5%ということで65歳以上の人がほぼ半分という高齢化した町です。そういう中で、いろいろ食を通じた町づくりや子育て支援を行い、人口減を食い止める政策をしてきました。その成果として、平成25年からは3年連続社会増になり、現在も3年連続社会増です。

 

子育て世代の30代女性が増えたとお聞きしました

 そうですね。元々、「子育て村構造」や「A級グルメ」というのは女性をターゲットにしています。30代女性の増加は、中国地方の自治体の中では一番増えていると言われています。政策として狙った取り組みをしているので、子育て支援とか食というところで若い女性の、特に30代の女性に共感していただけるように一生懸命やっています。

 また、出生率は大体2.45、多い時は2.65とか。国の平均が2を切って1.7とかいう状況の中では突出して出生率は高いです。その理由として、平成23年から「日本一の子育て村構想」を打ち立てたことにあると思います。今、国は保育料をほとんど無料にしていますが、それに先んじて邑南町では第二子以降の保育料の無料を開始したり、15歳までの医療費を全て無料にしたり支援を行っています。国が始める前から先駆的に始めたので、そういった取り組みが功を奏して、女性や子育て世代の移住者が増えているんじゃないかなと考えています。

 

「A級グルメ」の町づくりをしようとされたのはなぜですか?

東京での地方産物販売の課題

 先程、基幹産業が農業ということでしたが、人口減が進んでいく中で地域内経済がなかなか成り立っていかないじゃないかなということが懸念にありました。合併当初は都会に商品、農産物を売っていこうとしていました。例えば、石見和牛とかキャビアとか、果物でいうとブルーベリーとかピオーネとかさくらんぼとか。東京に持っていこうといろいろ取り組みをしてみたんですけれども……。結論からいうと、まず邑南町自体の生産量では東京の胃袋を賄うことができない。例えば石見和牛。これは邑南町が誇るブランド牛なんですけれども、年間200頭限定生産している雌牛です。しかし東京のホテルに持っていくと、2週間で200頭のヒレ肉とサーロインを持ってきてくれと言われる。「他の大量の部位はどうするか」と聞くと「それは地元で片付けてくれ」なんて言われると、それはなかなか邑南町では対応できません。これは邑南町だけじゃなく全国の自治体も同じように、そういった東京に物を売るというのはインバウンド含めて難しいんじゃないかなと考えていました。

 また、農産物を東京に売りに行くということになると、例えば商品パッケージなどそういったものを整えないといけない。そこにもデザイン費とか広告費が多額にかかるので、お金をかけて売り込んでも、それに見合った売上が立たない。そうなると、かけたお金はみんな東京に流れていくことになる。

 そうじゃなくて、地域にお金が流れるような仕組みを作っていかないといけない。地元に食べに来てもらうためには、都会の人が来たくなるような飲食店がたくさんあればと考えました。

 

ミシュランガイドをヒントに地方に食べに来てもらう仕組み

 当時、邑南町に飲食店はありましたが、都会の人が食べに行きたくなるまでの飲食店というのはなかなかなかった。ヨーロッパを見ると、イタリアやフランスやスペイン、サンセバスチャンという町は食で町おこしをやっていて、その食の町おこしはどちらかというと都市部よりは、地方のヨーロッパの片田舎でやっているのが特徴です。

 元々ミシュランという制度がありますが、これは日本では東京や大阪にミシュランの星付きレストランが多いイメージですけれども、本場のヨーロッパの場合は、片田舎に星付きレストランがある。それはなぜかというと、ミシュラン社はタイヤメーカーで、車を走らせてタイヤを擦り減らしてもらえないと商売になりません。地方に車で行ってもらうという目的からミシュランが始まったと思うんですよね。

 それが日本に来た時、東京にミシュランの店ができてくるので、地方は、私達が当初考えていたように、いいものができたらどんどん都会に送っていこうとします。これでは田舎は荒んでいくだけです。元々のヨーロッパ型に戻していくことが必要じゃないかな。

 

地産地消レストラン『AJIKURA』と「耕すシェフの研修制度」

 邑南町は先んじて、ヨーロッパの地方のように良いものは地方で食べてもらう、そのためには地方に良いレストランを作ろうと考えました。まずは行政が主体となって、『AJIKURA』という公設の地産地消レストランを作り、また、「耕すシェフの研修制度」を設け、3年間料理人を育成して学んでもらおうという制度を作りました。『AJIKURA』で勉強したことを活かして邑南町で起業してもらって、飲食店を増やしていきヨーロッパのように地方にたくさんの地域食材を使った飲食店ができてくると非常に盛り上がってくるんじゃないかな、都会の人達が邑南町をめがけて来てくれるんじゃないかなと考え、「A級グルメ」と銘打ってアピールしています。


レストラン『AJIKURA』

 

B級ではなくA級グルメ

 当時B級グルメって言われていたんですけど、自分達の作った食材をB級っていうのはすごく何か情けないなとの思いがありました。B級グルメって基本的には小麦が中心なんですよね。商工業者は儲かっても基幹産業である農業はなかなかそこまで行き渡らないってことであったり、農産物が永久に持続していく上ではA級グルメでやった方がいいかなっということであったり。そこで、平成23年から「A級グルメ構想」ということで取り組んできました。

 

A級グルメの代表的なお店って『AJIKURA』の他にありますか?

フランスレストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』登録

 『AJIKURA』は平成23年で10年目になりました。ミシュランと同じようにフランスレストランガイドで『ゴ・エ・ミヨ』っていうものがあるんですけれど。まず島根にミシュランは入ってないんです。去年そのゴ・エ・ミヨ審査がありまして、なんとですね島根県、これ面白いのが人口でいうと70万人島根県人口いるんですけど、だいたい50万人が東部で20万人が西部なんです。ゴ・エ・ミヨに登録されたお店って3店舗なんですけれども、3店全部が西部の石見地方にあるんですね。

 1店舗はあの有名な津和野の『美加登家』さんというアユ料理のお店。邑南町のイタリアンの『AJIKURA』と浜田市にある『ミア・パエーゼ』というイタリア料理店、この3つしかないです。東部にたくさんの飲食店があるけれども、東部は審査が入ったけど1店舗も出雲、松江の飲食店は審査に入っていないんですね。

 ということはですね、石見地方って過疎地域が進んでいるけれども、いい食材があってそこでちゃんとした料理人が育つ土壌があるって僕は思っているんですよね。そういった意味ではAJIKURAというのは一つ革新的な存在だったかなと思います。

 

香夢里』で料理人育成。増える様々な飲食店

 料理人育成という面では今、『香夢里』というのを町でやっています。そこでも「耕すシェフの研修制度」を継続して行い、そこから育った10年で8人の料理人達が、邑南町で起業をしています。それだけではなく、合併当時、飲食店は20店舗ぐらいしかなかったですけれど、現在16年目を迎え、46店舗に増えました。これは、A級グルメというブランドが、邑南町で起業したらいいんじゃないかっていうことで、移住者達がどんどん邑南町で地産地消レストランを開いてくれたのではないかと。たくさんのフランス料理やイタリア料理や日本料理などのお店がどんどんできてきています。以前は全くおそば屋さんなかったんですけど、今この3年間で7店舗ぐらい邑南町にできています。色んな食文化がこの邑南町に、このA級グルメという取り組みをしてから出来てきています。

 レストランができることによって、そのお店へ出荷する農家が元気になるということが私は一番キーワードだと思うんですよね。そういった食と農がレストランを通じてつながり、邑南町が活性化してくるというのが一番僕は本当に魅力的だったんじゃないかなと思います。

 

レストラン『香夢里』

 

料理が見えることで農家のモチベーションアップ

 実際地元に飲食店ができて誰が使ってくれているのか、どういう人が食べてくれているのか、どういう料理がされているのかということがしっかり農家の方の目の行き届く範囲で分かると、非常に農家の方のモチベーションが上がってくる。『AJIKURA』に行って、自分の作った野菜が出てきたら涙を流して食べていただける農家のお母さんとか、自分の作った農産物を使った料理を、自分のお友達や親戚や特にお孫さんなんかを連れてきて「これ自分が作った野菜なんだよ」なんて言って自慢してくれるお年寄りが増えているんですよね。

 そういった意味でも45.5%という高齢化率ですから、こういったお年寄りが元気でずっと農業を続けてくれることは、これは農業だけじゃなく健康福祉にも繋がっています。人生100年時代という中で、若い人メインに政策をやりつつ、高齢者の方が元気で長生きし、ずっと社会に参画できる世の中っていうのは地方にとって最大の魅力じゃないかなと思います。

 

地元産野菜を使ったサラダ

 

特製ハンバーグ

 

東京の苦しいローン事情と田舎生活の魅力

 僕の後輩が2、3年前マンション買ったんですね、東京で。42歳でよくマンション買えたねなんて言ったら、いや今は40代でもマンションを買えるんですよ、銀行のローンを組めるんですと言うんです。大体2LDKで3500万円ぐらいのローンを組むんですけど、そのローンの長さというのが驚きで75歳までなんですね。

 実際東京で働いているサラリーマンがどういう状況かというと、50歳で半沢直樹じゃないですけど出向してしまう、そうすると給料が半分ぐらいになる。さらに60歳になるとサラリーが無くなる。そうなると、あと60歳からの15年間はアルバイトしないとローンを返せなくなります。「いや退職金があるじゃないですか」なんていうけれども、政府は少し前に2000万円ないと老後暮らしていけませんよと言うので、退職金だけはちゃんと残していこうという話になってきますよね。だからずっとアルバイトしていくことになります。

 今見ていると、東京で大学生はほとんどアルバイトしてないです。少子化で親がちゃんと勉強して欲しいからアルバイトをしたらダメということ。もう外国人か高齢者に頼るしかないんですよ。コンビニに行くと深夜に70代、80代の高齢者がたくさん外国人と一緒に働いている。一生懸命今まで働いて、悠々自適な都会で年金暮らしを目指していた人達が、こういう暮らしをしているって本当に日本の人生100年時代って言っていて未来があるのかなと。

 そういった意味では地方は、もうずっと死ぬまで働くっていうのは昔から変わらないです。けれども自分の好きな農業をやったり農産物を通じて加工して道の駅に出したりして、人に喜ばれたり、自分の喜びになったりしている。それから飲食店に出荷したりすることを考えると、どっちが幸せなのかなって。50歳からの50年間は、人生の後半は僕は地方に明るさが、未来があるんじゃないかなというふうに考えています。

 

耕すシェフ制度の成果

 (耕すシェフ制度から開業された方は、)46店舗中、8店舗になります。そういった方が頑張るので、地元出身者の方とかも自分達も飲食店を開いてみようかな、なんていうことで開いてくれたりしています。耕すシェフの研修生ではないですが、町外で飲食店をやっていて、こっちに移ってみようかなという方が結構いて、非常に好影響を与えていると思います。

 

「食の学校」では、どんな人を対象にどんな内容の講座を行っていますか?

飲食店経営のノウハウを学ぶ食の学校

 当初、基本的にAJIKURで研修制度を始めていたんですけれども、なかなかAJIKURAで研修をしていると、腰を据えてしっかり学ぶということができない。というのは、経営について学ばないと3年間の研修制度を受け、実践的にやったとしても飲食店の経営はできないところがありました。

 飲食店経営には、料理の技術だけではなくて経営面もあるので、この「食の学校」では、銀行とコラボを組んで起業塾を行い、実際自分達が融資を受けられるまでの事業計画をしっかり3年間で習得できるような経営の勉強をしたり、プロフェッショナル講座ということで、プロの料理人に来ていただいて勉強していただいたりしています。色んな飲食店ができているので、自分のオリジナリティーを出していくプロフェッショナルコースをやったり、地元の農家の方との繋ぎをしたり、郷土料理といったものをしっかり学んでいただいたりして、邑南町で起業した意味を持ってやっていただく手助けを、食の学校というのを開設して行っています。

 

邑南町立 食の学校

 

「農の学校」はどんな学校ですか?

オーガニック食材の需要から生まれた農の学校

 A級グルメということをやっていくと食と農ですので、農の部分も非常に重要な部分になっています。

 移住者の意見を聞くと、みんな飲食店ではオーガニックの食材を使いたいっていうんですよ。ただ、邑南町の農林振興でいうと慣行農業が盛んで、農薬は使わないと仕方ないだろうという考え方が非常に多かったのです。しかし、移住者でレストランを起業した人はオーガニックをやりたいとおっしゃる。そこでミスマッチが起きていたんですね。

 そういう声がある以上、欲しいっていうものに対して答えていくってことは大事だろうということで、農の学校の中でオーガニック食材を作ることにしました。

 ただ、なかなか販路もなかったので、販売会社も作りまして、学校と販売会社を一緒にやっていきました。しかし、販売会社を作っても邑南町の有機野菜農家は非常に少ないので、経営が成り立たない。そこで、この販売会社は全国にネットワークを作って、指導を行うこともはじめ、指導に行った後に、その全国から集めた農産物と地元の少ないオーガニック農産物とを巻き込んで、全国のスーパーやデパートに売り込みをしていくということを行いました。

 今取り組みをして27年ですけども、今1億円ぐらいの売り上げがあります。全国でも有数のオーガニック食材の会社になっているんじゃないかなと思っています。そんなふうに、問題が発生してくるとそこに対して対応していくと、非常に面白い展開が生まれてくるかなというふうに思っています。

 

これらの施策を打つことで邑南町はどのように変わりましたか?

邑南町のチャレンジング精神に変化

 合併した頃は、ちょっと閉塞感とか閉鎖的な部分もあったと思うんです。私はこの16年を振り返って、まずいろんな若い人が入ってきてくれたり、Uターンの方が増えたりという変化があります。そういった中で、今まで地域の人は「埃」を被っていました。「誇り」を持っていたと思いますが、だんだん高齢化してくると、自分達が持っていた「誇り」に「埃」が被っていた。その「埃」を移住者やUターン者が取っ払ってくれたと感じます。「真の誇り」が出てきた中で、こういうことやってみようというチャレンジングな街に、少しずつではありますけども、変わってきているんじゃないかなと思います。

 また、チャレンジすることを自分はできなくても、それを応援したり許したりするような町民性に変化したところは、僕は大きな進歩じゃないかというふうに感じています。

 

「日本A級グルメ連合」の取り組みについて教えてください

邑南町の取り組みが全国に

 「日本A級グルメ連合」の設立の経緯は、この邑南町のA級グルメの取り組みが全国からたくさん支持をいただき、私も講演に呼ばれたり視察に来ていただいたりして、急速に他の自治体との交流が生まれたんですね。

 現在、北は北海道鹿部町、福井県の小浜市。それから島根県の西ノ島の西ノ島町、宮崎県の都農町、そして邑南町の5自治体ですね。こういうA級グルメの取り組みをまずこの5自治体を中心に行い、全国の少子高齢化に悩んでいる自治体に広げていこうといことでやっています。

 活動内容は、料理人の起業を邑南町が支援してきたように、この5自治体で料理人の育成をしていくために、「A級アカデミー」を作りました。10月23日に開催するんですけど、この5自治体で料理人を育てるための勉強会を行う予定です。また、東京に事務所を構えて、5自治体のフェアをやっていこうという考えがあり、邑南町だけではなく、このA級の5自治体の取り組みを東京の人達に知ってもらう活動をしています。

 

 

今後のビジョンについて教えてください。

これからの仕事の仕方の変化

 新型コロナというのは僕は日本全体の、もしかしたら世界全体の進むべき方向を早めたんじゃないかなというふうに考えています。とくに、価値観はもの凄く変わっています。そういった中で、その価値観に対応した生き方をしていかないといけないじゃないかなというふうに思います。

 自分がやっていきたい仕事や自分の意志でやりたいと思う仕事は残り、やらされている仕事は全て、AIやロボットが解決してくれる時代がもう急速に近づいてきています。

 ということは、自分の好きなことばっかりする仕事だと収入という面では減ってくると思うんですよ。つまり都会も田舎も収入が減ってきます。だってやりがいのある仕事をやっていると、自分の好きな仕事しかしないから、収入面に跳ね返ってきません。ということは、どっちがこの仕事をしていていいのかなと考えると、先ほどのマンション問題や社会生活の経費が掛かる東京ではなかなかしんどくなります。

 

経費がかからない田舎の飲食店経営

 邑南町の飲食店だと、大体売り上げは1000万円ぐらいと聞いています。都会でこの売上だと飲食店経営できないと思いますが、邑南町の飲食店は経営しています。

 どうやってできているかというと、掛かる経費が圧倒的に少ないんですよ。家賃はほぼタダ、それから食材費は、自分が食べるものも飲食店で作っているものを食べているとほとんど掛からない。4月から11月めいっぱい働くと遊びに行けないのでお金を使わない。

 そうするとどれぐらいお金が残るのと聞くと、大体300万から400万と言います。300万から400万だとすると、夫婦2人の飲食店経営で1人当たりの年収は200万です。これもかなり少ないお金ですよ。でも、貯金をどれぐらいできるのと聞くと100万から200万というんです。ということは、400万のうち100万から200万残ると。1月、2月は雪が降るから営業できないのでしっかり休みが取れる。その間に海外旅行とか行ったりする人がいるんですよね。それでも貯金ができている。田舎の方が貯蓄もできて、自分のやりたいこともできて、ということになるとさっき言ったように価値観が変わっていくと思うんです。

 

遊びと仕事の境目が無くなる時代

 これからは、消費に価値を見出さない時代が出てくるんじゃないかなとも思います。今まではたくさん都会でお金を稼いで、お金を消費することによって自分の仕事に対するストレスを無くしていこうという動きがありましたが、遊びと仕事の境目が無くなるってことは、仕事も楽しんでいけば消費にかける時間が凄く少なくなります。消費をしても、仕事に関わる経費として消費をしていけば、自分の趣味でお金を使うことになってくる。

 そういったものが経費として扱えることになると、趣味とお金の境目が分からなくなってくる。その分収入は少なくなってくるけれどもストレスは少ないよ、という時代が必ず到来してきます。

 

ベーシックインカムなど新たな働き方の時代

 菅官房長官と竹中さんが意見交換した中では、ベーシックインカムという話も出てきました。定額給付金は僕はその走りかなと思ったんですけど、月額10万円でしたっけ。1回だけ配ったけれど、これを毎月配っていくとどうなるかっていうと、家族が多い方が非常に生活アドバンテージできますよね。そうなると都会のように核家族とか単身っていうのは非常に不利になってきます。

 そういった時代が必ず近い将来来ると思います。そうなると社会保障というのがなくなってくる中で、自分の好きな仕事で「半農半X」といいますが、半食半Xでもいいと思うんですよね。国から貰う定額のお金と自分がちょっと稼いでいるお金で豊かな生活をしていく、という考え。これヨーロッパはもう近づいていて、やっているんで、日本も必ずそういう時代は5年10年もっと早いかも、やって来るかもしれないですよね。

 そういう時代の到来を見据え、新たな価値観や新たな仕事のスタイルというものは、模索していく必要があるんじゃないかなというふうに考えています。

 

 

 

最後に寺本さんから邑南町のPRをお願いします

 邑南町はストレスフリーの中で生きている人達が多いんじゃないかな、と思います。レストランだけじゃなく、酒蔵が3軒あったり醤油の蔵があったり、果樹を一生懸命作っている人がいたりして、そういう人達は生き生きしていて元気に自分の生きがいを持って仕事をしています。そういう人達は非常に魅力的な人が多いので、そういったところの一端を都会の消費社会の中から垣間見てみるっていうのも一ついいんじゃないかなんていうふうに思います。是非邑南町に来ていただいて、そういった生産者は非常に面白いので会っていただければなというふうに思います。

 

ありがとうございました。

(2020年10月9日インタビュー)